今回はGoogle Colabとよく比較されるPaperSpaceについて解説します。本記事は次のような疑問に答える記事になっています。
- PaperSpaceとGoogle Colabを比較したときのメリット・デメリットは?
- 新規会員登録したら$10分のお得なPaperSpaceの紹介リンクが欲しい。
- PaperSpaceでStable Diffusion Web UI(AUTO1111)の動かし方を知りたい。
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PaperSpaceとは?Notebook環境を提供するサービス
PaperSpaceは簡単にPythonやBashなどのスクリプトを実行できるノートブック環境を提供するサービスです。Stable Diffusion Web UIなどもこのノートブック上で簡単に起動することができます。環境構築はノートブックをコピペして実行するだけなので、手元のPCで環境を用意するよりも簡単です。Google Colabとほぼ同じ使用感で使うことができます。
PaperSpaceの運営会社は?上場企業なので安心!
PaperSpaceの運営元であるDigitalOceanはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している企業です。2011年に設立されてクラウド事業(IaaSなど)を提供する企業です。時価総額21億ドル、従業員数1204人と大手企業です。アメリカでは多くのクライアントを抱えているためセキュリティやプライバシー面などについても安心できます。
参考リンク:
デジタルオーション・ホールディングス【DOCN】:株価・株式情報 – Yahoo!ファイナンス
PaperSpaceのメリットとデメリット
PaperSpaceのメリットデメリットをまとめると次の通りです。
PaperSpaceメリット:
- GPUの空きがあればGPUが使いたい放題。Google ColabはProでも58時間しか使えない。
- 意図しない情報流出などのリスクが少ない。Google Driveだとビジネスなどで色々使う機会が大きく流出のリスクが高い。
- 万が一のアカウント凍結のリスクがGoogleアカウントに比べると小さい。GoogleだとGoogle全般のサービスが利用停止になる。成人向けコンテンツへの制限も厳しい。
PaperSpaceのデメリット:
- ストレージの拡張ができない。(Google Driveなら有料だが2TBなどのプランもある)
- 料金がドル建てなので今後、円安の影響を受けて高騰しやすい。2023/10/01で料金はほぼ同じ。
- 高度なテクニックとしてFXでヘッジするとかでColabよりも安くすることも可能。
- アメリカではPaperSpaceのほうが安いので、今後はPaperSpaceのほうがリーズナブルになることが予想される。
- GPUが使えないときがある
- クレジットを消費するGPUは使えます。こういう時にクレジットがあると便利。
個人的な考えとしてはPaperSpaceのほうがインスタンスが使いたい放題に使えてお得です。現状Pro版で使いたいときにインスタンスが使えないことは発生しておりません。またプライバシー保護やアカウント凍結のリスクの点でもPaperSpaceがストレスなく使える印象です。
特にこのような画像を作っていることが職場などで流出したりすると恥ずかしいですよね。場合によっては有害コンテンツが生成されて、最悪の場合Googleアカウントが凍結されることがあります。なので、もしAIグラビアなどのコンテンツを生成するのであればPaperSpaceを使うのをおすすめします。
無料版の比較
Google Colabの無償版ではStable Diffusion Web UIは実行することができません。またPaperSpaceにも無料版はあります。現在、人気が殺到した結果、インスタンスが自由に使えないので試すことはできない状況ですが、過去にはタイミングによっては無料でStable Diffusion Web UIを使えるようです。
ただし、今からだとProプランを使うことになると思います。
Proプランの比較
Google Colab ProとPaperSpaceのProプランの具体的な比較です。
項目 | Google Colab Pro | PaperSpace |
---|---|---|
料金 | 日本だと1179円 or アメリカでは$9.99 | $8(≒1195円:2023/10/01) |
ストレージ | 15GB (Google Drive無料版を使う) | 15GB |
バックグラウンド実行 | × | 〇 |
GPU | T4(16GB) | P5000(16GB) |
RAM | 16GB | 16GB |
利用制限 | 1か月あたり最大で約58時間※1まで | GPUの空きがあれば無制限 |
プライバシー保護※2 | △ | 〇 |
アカウント凍結のリスク※3 | 高い | 低い |
※1: Google Colab Pro 月最大の利用時間: Google Colab Proの公式の表記では100コンピューティングユニットとなっております。GPU T4は1時間に1.96ユニット消費します。そのため50時間程度となります。もしインスタンスの開放を忘れたりするとすぐになくなってしまいます。また高性能なインスタンスを使うと減りはさらに早くなります。
※2: プライバシーに関する事項について。
プライバシー保護については以下の2点を考慮しております。
- ヒューマンエラーによる流出: Google Driveの場合は画像生成AI以外にも利用するためなんらかのミスで生成した画像などが公開されるリスクが高いです。特に初心者のうちはどこに何が保存されるかわからないので注意が必要です。一方でPaperSpaceの場合はAIの学習や画像生成以外に使うことはほとんどないので流出のリスクが小さいです。
- 運営方針: Google Driveは成人向けコンテンツを保存していたら削除、アカウント凍結されるという報告がありユーザーのコンテンツを監査しているようです。一方、PaperSpaceの利用規約を確認すると法的な要請やサービス運営に必要な場合を除いてはアクセスをしないということなので優れていると言えます。
参考リンク:
Google ドライブにエロ画像を入れたら削除された? 「怖い」「検閲か」と不安広がる → Google「人による確認はしていない」
※3: アカウント凍結のリスク
Google Colabの場合はGoogleアカウントに紐づいているため万が一凍結された際、Google ドキュメント、スプレッドシート、メールやGoogleアカウント連携でログインしているサービスなど凍結された際のリスクがかなり大きいです。
PaperSpaceの場合は万が一凍結された場合でもPaperSpace以外に影響がないのでリスクは小さいです。生成した画像や環境がなくなる程度の被害で済みます。
PaperSpaceに登録
- 1/8PaperSpaceへアクセス
PaperSpace($10クレジット付き)を新しいタブで開きます。”Sign up with Google”をクリックしてGoogleアカウントと連携してPaperSpaceに登録をします。GitHubアカウントお持ちならそちらもおすすめです。
- 2/8氏名を入力
氏名を設定します。私は日本語の本名で登録しましたがクレジットカード登録の際に本名を入力することがあるので必ずしも本名である必要はなさそうです。
- 3/8gradientを選択する
gradientとCOREのどちらのサービスを利用するかを聞かれますがgradientをクリックしてください。
- 4/8職業/利用目的/誰が利用するか?
職業と利用目的と、このアカウントを自分以外の誰が利用するかについて聞かれるので適当に答えます。職業、利用目的については自由に、アカウント利用者が自分だけの場合はJust Meを選びましょう。
- 5/8プロジェクトの作成
プロジェクトを作成します。
- 6/8Explore Notebooksを選択
Explore Notebooksを選択します。
- 7/8UPGRADEをクリック
するとNotebooksの画面が開きます。右上のUPGRADEを押してアカウントをPro版にアップグレードします。Stable Diffusion Web UIを動かすためにはGPUとストレージ容量の確保が必要となります。そのためPro版でないと手間がかかりすぎたりそもそも動かないことがあるからです。
- 8/8クレジットカード情報を入力
クレジットカードを情報を入力して、有料版への加入をします。
PaperSpaceでStable Diffusion Web UI(AUTO1111)の利用方法
PaperSpaceでのStable Diffusion Web UIの環境構築について解説します。本記事ではPaper SpaceのProプランを前提として解説します。
PaperSpace($10クレジット付き)の登録はこちらから
- 1/7ノートブックを作成
CreateでNotebookを作成します。
- 2/7テンプレートはStart from Scratchを選択
テンプレートはStart from Scratchを選択します。Stable Diffusionは?と思うかもしれませんがこちらだと余計なファイルが多く、インストールされるバージョンも古いのでおすすめしません。
- 3/7ノートブックを起動
machineですがFree-P5000を選択しましょう。そしてAuto-shutdown timeoutは6 Hoursにしておきます。設定を確認したらStart Notebookを起動しましょう。
- 4/7ノートブックをローカルにダウンロード
Stable Diffusion Web UIのインストールと起動するためのノートブックをローカル環境にダウンロードしてきます。以下のリンクからGithubにアクセスしてNotebookをダウンロードします。
paperspace-template/webui2.ipynb at main · javacommons/paperspace-template (github.com)
- 5/7ノートブックをPaperSpaceにアップロード
PaperSpaceのNotebookの画面に戻ってダウンロードしたwebui2.ipynbをPaperSpaceにアップロードします。アップロードボタンはサイドバーのアイコンをクリックしてファイルを選択します。するとサイドバーにwebui2.ipynbが追加されるので開きます。
- 6/7ノートブックを実行(手順に注意)
それではノートブックでインストールするコマンドを実行します。実行方法はセルの左上の再生ボタンをクリックするかセルを選択してShift+Enterで実行できます。ただしこのノートブックは1番から実行するのではなく2番目のセルと3番目のセルをから実行してから1番目のセルを実行しましょう。このようになっているのは、次回以降は1番上のセルを実行するだけでWeb UIを起動できるからです。
- 7/7Stable Diffusion Web UIへアクセスする
一番上のセルが実行されると下にログが表示されます。その中にRunning on Public URLというログが表示されます。その行にStable Diffusion Web UIへアクセスするためのURLが表示されるのでクリックして開きます。
クリックしたら次のようなStable Diffusion Web UIが表示されます。
Stable Diffusion Web UIでグラビア写真を作る
最後にせっかくなのでグラビア写真を作ってみます。
- プロンプトを入力:
Photo of Japanese pretty actress on the beach.(white bikini: 1.5), short hair
- ネガティブプロンプトを入力:
(worst quality, low quality: 2.0), normal quality, ugly face, unclear eyes, bad mouth, bad anatomy, extra legs, beach, bad anatomy
- Generateをクリック
モデルはBlueberryMix-1.0.safetensors [f31db98b5d]を使っているので、それなりに高い精度で綺麗な画像が生成されると思います。
あとは色々とプロンプトを工夫してお気に入りの画像を生成してみてください。またプロンプトについては奥が深いので別記事で解説しているので思い通りの画像が作れない場合は参考にしてみてください。
2回目以降の起動方法について。再起動の方法
先ほどStable Diffusion Web UI(AUTO1111)のインストール方法を解説した。paperspace-template/webui2.ipynb at main · javacommons/paperspace-template (github.com)の2回目以降の起動方法について解説します。
一回、インスタンスが停止した際にStable Diffusionを起動する方法について紹介します。再起動する際はモデルのダウンロードなどが不要になるので最小限の環境構築のコードを実行してStable Diffusion Web UIを起動するだけで大丈夫です。この操作は一番上のセルに集約されています。
- 1/4Notebookを開く
まずはプロジェクトを開きましょう。初回インストールした際にブラウザのお気に入りに登録していたらそこから開くので大丈夫です。
もしURLを覚えてない場合はダッシュボードのトップからプロジェクトを探してNotebookを開きます。
Notebookを開きます。
- 2/4インスタンスを起動する
画面上部にある”START MACHINE”をクリックしてインスタンスを起動します。起動したらローディングされます。もしローディングが1分ぐらい終わらない場合はブラウザのリロードボタンでページを再読み込みして下さい。
- 3/4一番上のセルを実行
インスタンスの状態が”Running”になっていることを確認できたら一番上のセルを実行します。セルの実行は左上の再生ボタンをクリックするか、セルを選択してShift+Enterでできます。
- 4/4Stable Diffusion Web UIへアクセスする
少しするとStable Diffusion Web UI(AUTO1111)が起動します。Running on Public URLというログが表示されます。その行にStable Diffusion Web UIへアクセスするためのURLが表示されるのでクリックして開きます。
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